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新年度を迎えました。街にはパリッとしたスーツに身を包む新社会人があふれています。学校でも、期待に胸を膨らます新入生が新しい扉を開いていることでしょう。私も社会人の先輩として、新しい旅立ちに声援を送りたいと思います。 さて、4月2日に自民、公明両党の政策責任者会議で、教育委員会制度を大改革するための「地方教育行政法」の改正案が了承され、今国会に法案が提出されました。 各地で相次いだいじめ事件では、教育委員会の対応の遅れや閉鎖的な運営に批判が集中し、多くの関係者から「教育委を改革すべし」との強い意見が巻き起こりました。今回の改正案は、24年秋、安倍晋三代議士が自民党総裁が就任して以来、政府と党、さらには公明党との間で約1年半かけて議論した末に生まれたものです。 自民党では、安倍首相の肝いりで生まれた教育再生実行本部、政府では教育再生実行会議が軸となり、教育委員会制度の抜本改革案について複数の提言をまとめていました。これを受け、下村博文文部科学相は教育問題を議論する中央教育審議会(中教審)に改革案をまとめるよう指示し、昨年暮れには答申案ができあがりました。 ただ、その内容は「A案」「B案」の2案を両論併記するものでした。「A案」は教育行政の責任者を首長に移し、教育委員会は諮問機関と位置づけるもの。「B案」は、首長の権限は強化しながらも、教育行政の責任は教育委員会に残すものです。「政治」と「教育」の関係には実に様々な意見があるだけに、中教審にとっては取りまとめが難しい中での答申でした。 改革案をめぐっては、自民党内も多様な考えがあり、与党の公明党とも大きな意見の隔たりがあります。下村文科相は答申を受け、私を始め数人の自民党議員に「自民党や官邸、中教審での議論を踏まえつつ、白紙の状態で自民党内の意見を取りまとめ、公明党とも意見調整をして改革案を作ってほしい」と直接要請してきました。 党では年明けから、「教育委員会改革小委員会」(小委員長・渡海紀三朗元文科相)を立ち上げ、私が小委員長代理兼事務局長として意見集約を始めました。6月に会期末を迎える今国会で成立させるには、3月末までに地方教育行政法の改正案をまとめなければなりません。非常にスピーディーな議論にならざるを得ませんでしたが、事は日本の教育の根幹をなす制度改正。自民党だけで50~60時間、侃々諤々の議論に臨みました。 公明党との協議はさらに難航しました。党最大の支持母体である創価学会は、教育行政を特に重視しています。教育への権力介入を防ぎたいという思いが強く、首長の権限強化には極力反対でした。自民党内には、これまでの教育委運営に根強い不信感を持つ議員も多く、首長の権限強化を求める声が少なからずありました。自公協議は11回、計20数時間にも及びました。 難産の末にたどりついたのが、今回まとめた改正案です、原案は私が提案を致しました。私が参考にしたのが、日本銀行の「総裁」と最高意志決定機関の「政策委員会」のような制度です。 これまでは、非常勤の教育委員長と常勤で事務局トップを務める教育長が混在し、責任の所在が不明確でした。今回「教育長」という新しいポストを設け、教育長の任命権は首長が議会の同意を得て行うことにしました。他方で、教職員人事などはこれまで通り教育委員会に残します。選挙の民意を教育行政に反映させるよう改めつつ、過度な権力介入が起こらないような構造にするー。いわば「C案」という妥協点を作り、政府と自公の了承をもらいました。 まだ改革案は道半ばですが、教育改革は安倍晋三政権の最重要課題の1つ。未来の子供たちのため、今後も精魂を傾けていこうと思います。
平成26年4月14日
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