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政府は26日、コメの価格維持のため40年以上続けてきた生産調整(減反)について、5年後の平成30年度の全廃を決めました。不安を持たれる農家の皆様も多いと思いますが、農業を生業から産業に生まれ変わらせるためには、どうしても避けて通れない道だと考えています。 今や農家の平均年齢は全国平均で65.8歳(平成24年、農水省調べ)。私の地元の山形では、農家の戸数は20年前とくらべ半減したとの調査もあります。「現状維持」を続けたのでは、近い将来行き詰まるのは明らかです。私の周囲のコメ農家からは「コメ作りでは将来食べられないから、息子に継がせられない」という声が専らです。 減反は「国公認のカルテル」ともいわれ、農家の所得を守り、日本の水田を守るために大きな役割を果たしてきました。政府が生産量を決めていたのでは、農家経営の自由度は自ずと縛られます。少しの耕作地でも減反で補助金をもらえるのなら、農地の集約にもマイナスです。何よりも、米が不足しているから補助金を出して作付けを増やしてもらうのなら理解が得られますが、過剰な米作に作付けを休んで貰うための補助金を出し続けるのはどう見ても無理が有ります。 日本は食の多様化が進み、コメの消費量は過去40年間で半減しました。今後急激な人口減少が予想され、環境は厳しくなるばかりです。米を「作る」「作らない」は農家に任せる。大規模化を徹底し、コストカットに努める農家には、国が手厚い支援を行う。これが今回の農業改革の骨格です。頑張った農家は頑張っただけの見返りを得られるようにしなければ、将来の担い手は振り向かないのではないでしょうか。そして、これまでは水田一辺倒だった直接支払いも、果樹や野菜などの畑地にも補助金の対象にします。 減反を止めればコメあまりで急激な米価下落を招くのでないか。中山間地域にでは、そもそも大規模化は難しいのでないか。改革にあたり、私もこうした不安を持っています。コストだけではなく、食料自給率・自給力など様々考えなければなりません。そのためにも皆さんの声を聞きながら丁寧に改革を進めます。 コメを生食用から家畜向けの「飼料米」に転作する場合には、10アールあたり最大10.5万円(現行8万円)の補助金を用意しました。自民党では、家畜飼料の国内自給率を今後10年間に1.5倍引き上げ、為替の影響を受けやすい海外産の比率を下げようとしています。なるべく飼料米に誘導し、生食用を増やさないのが目的です。中山間地域の水田は、豊かな農村の原風景を守り、利水にも貢献しており、これまで同様の支援をして行きます。 農家の大規模化を急ぎ、米価の下落にも対応できる強い経営体を作る。これが政府の目指す海外輸出拡大策の一里塚です。やる気のある農家がよりやる気を出せるよう、ブランドを国内外に広く展開できるよう、私も汗をかきたいと思います。 安倍晋三首相は「農業ほど今後伸びる産業はない」と常に話しています。日本の農産品は世界が驚く品質が自慢。いきなり輸出に明るい展望が開けるほど甘くはないと思いますが、今がまさに分水嶺。日本の農業をつぶしてはなりません。政治家が農家に甘え、いつしか現実を直視しない「裸の王様」となっていた面もあったでしょう。これまでの猫の目農政との批判を謙虚に受け止め、農家のみなさんと同じ目線での改革を進めて行きます。
平成25年11月30日
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