対談
 
タイトル
えんどう この度はご多忙のなかお時間を頂きありがとうございます。
谷垣総裁 私の方こそ、山形の方々にメッセージをお伝えできる良い機会を頂きまして感謝しております。
えんどう さて、2010年も明けましたが、昨年の衆議院選挙、自由民主党の大敗、そして私たち所属議員にとって厳しい年でした。
谷垣総裁 そうですね。我々は今、野党となりその現実を真摯に受け止めてこれからを歩んでいかなくてはなりません。
えんどう 私も選挙中は厳しいご意見やご批判を頂きました。そのどれもが胸に突き刺さって。こんなにも皆さんをがっかりさせてしまっていたのかと。
谷垣総裁 我が党は、55年体制のもと常に与党であるという慢心があり、政権運営にどこか驕りがあらわれていたのかもしれません。これは大きく反省すべき点です。
えんどう そうですね。国民の皆さんの声が届き難くなっていたかもしれない。私自身、その事にこだわって働いてきましたからとても残念です。ただ、ありがたい事にそうした大逆風の中でも多くのご支援や温かなお声を頂くことができ大変励みになりました。
谷垣総裁 遠藤さんの場合は全国の中でもかなりの僅差でしたね。確かに厳しい選挙ではありましたが多くの有権者からご支援をいただいたのも事実です。そうした皆さんに報いるためにも自由民主党を再生させなくてはなりません。
 
タイトル
えんどう利明
えんどう 新政権は発足以来、自らが掲げたマニフェスト実現に奔走していますが、国の予算立てや公共事業の見直し、子ども手当て、高速道路料金の無料化、事業仕分け、対米・中東の外交諸問題等何かと物議を醸しています。
谷垣総裁 正直とても不安で、日本の将来を託すことは非常に危険であると考えています。特に重要なのは我が国が厳しい国際競争の中で勝ち抜いていく力を守り、育んでいく事です。その為には国民一人ひとりが個々人の努力や創意工夫によって力を身につけていかなくてはなりません。子ども手当てや高速道路料金の無料化など、一見ありがたく、やさしく受け入れられがちですが、実は人が生きるための自助努力を阻害してしまっています。もちろん一人では生きられません。だからこそ自助・共助・公助というものが必要なのです。まず個人の自由と努力を尊重し、それを家族や地域社会など顔の見える間柄同士で共に支え合う温かさを大事にする。そして、それだけでは立ち行かないところを住民全体あるいは国民全体で相互に助け合うという公助で支援する。真に個人を大切にすると共に、お互いが助け合う真心をも大切にするあり方が必要です。
えんどう 総裁の政治理念である「絆」社会ですね。私も賛成です。私は長らく教育の現場に目を向けてきましたが、最近、日本の子ども、若者、更には親にあたる年齢層においてまで自ら努力し、切磋琢磨するという意識が鈍化しつつあります。新政権のそういった政策があたりまえとなってしまったら、日本は本当に競争できない国になってしまうかもしれません。
谷垣総裁 要は矛盾だらけなのです。世界同時不況の経済対策として我が党は15兆円もの補正予算を確保しておいたのにその内の2兆7000億円の執行を停止。数字を取り崩す事のみ考えた結果、現在では「鳩山不況!」という不安の声があがっています。
えんどう 一方、ばらまき要素の多い2010年度概算要求は95兆円以上と過去最高になっています。必要な事にお金をかけないでムダ使いする。これでは本末転倒と言わざるを得ませんね。国民への大きな負担、とりわけこれからの未来を担う子ども達に負担を先送りするのは絶対にいけません。
谷垣総裁 その他にも国債増発、沖縄普天間基地の移設等、新政権はブレ続け、戦略性や政策体系としての一貫性が見られません。こんな危険な船に国民を乗せておいていいはずがありません。日本を安心という目的地に到達させる為にも抑止力を持つ我が党の役目は極めて重要です。
 
タイトル
谷垣総裁と
えんどう 総裁は昨年から全国を廻られていますね。
谷垣総裁 新しい自由民主党に必要なのは「政治は国民のもの」であるとの我が党原点の志だと思っています。国民の皆様と志を同じくした公正な政治を目指さなくては。
えんどう 総裁が総裁選挙に立候補された時のスローガンは“みんなでやろう 自民党”でした。
谷垣総裁 私たち日本人は、隣人との関わり合いを大切にし、皆で支え合っていく「絆」の精神を持っています。家族や地域の「絆」を感じながら“みんなでやろう”と生きがいを持って活動する事。それが社会や経済を支える全ての原点だと考えています。
えんどう 自由民主党は現在では野党という立場にあります。たとえ今、政権を譲っているにしても先のお話のように今をこのままにしてはおけませんから、政権奪還後の解決策を見出しておかなくては。
谷垣総裁 野党の役割は徹底的な政策論争を通じて与党の政策を正していく事にあります。かつて彼らがそうであったような“なんでも反対”はしません。建設的な論議を重ね日本を正しく、安全な方向へと導いていく事にあります。その為に我が党の組織改革を進め、優秀な人材の発掘と育成に取り組みます。
えんどう 賛成です。とにかく日本が抱えている大きな問題を一つ一つ解決していかなくては。政治主導といいますがそれはもっと生真面目で確かなものでないと。選挙の為、人気取りの為であってはいけません。
谷垣総裁 総裁選で私は3つの事をお約束しました。第一に、常に国民の皆さんの将来を見据えて持続可能な政策を考えます。特に年金・医療・介護、更に少子化対策は財源の問題と切り離すことはできません。受益と負担の関係について現実を直視しながら議論する必要があります。第二に、国民の皆さまにわかりやすく丁寧に、嘘やまやかしではなく正直に説明をしていくという事です。政策にはコストがかかります。誰かが負担しなければなりません。それをうやむやにして政策は実行できません。第三に、地域の不安を正面から受け止め、活性化に取り組む事です。元気をなくしてしまった地方産業、シャッター通り……健全な地域社会がなければ健全な国家はありえません。地域の住民が自ら創意工夫を凝らし、「絆」の中で力を合わせて、魅力と活力のある地域を実現していく事が必要です。
えんどう 「絆」、いい言葉ですね。今こそ「絆」を見直し、感じながら、芯のある、安心、安全な社会を作り上げていきたいですね。
谷垣総裁 はい。私は「絆」を大切にしながら、今後も自民党の再生、国民生活を守る想いをお伝えしていきたいと思います。
えんどう そうですね。日本はもっともっといい国になれるはず。私も全力で協力させて頂きます。