衆議院予算委員会(平成20年1月28日) |
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○遠藤(利)委員
自民党の遠藤利明です。
時間がありませんので早速質問に入らせていただきますが、先ほど園田委員からも、国民の福祉と負担についていろいろな御意見がありました。やはり、我々地方におりまして大変な閉塞感がある。物価は上がってくる、しかし所得は下がってくる。
内需の比率が、かつて我々はGDPの六割ぐらいというように認識しておったんですが、最近は五割ぐらいに下がっている。何でなんだろうと。
当然、経常収支は毎年毎年ふえておりますし、例えば、平成十四年から、十四兆一千億から十五兆、十八兆、そして昨年は十九兆。貿易収支も平成十九年度は前年よりふえて十兆。ですから、毎年毎年経常収支はふえ、そして個人の金融資産もふえてきている。それなのに、何で内需はふえないのか。先ほど舛添大臣からも話がありましたように、やはり将来への不安だ、まさにそうだと思うんです。
もう一つは、やはり、若干、国の財政が厳しいので、不安をあおり過ぎたという部分もあるのかなという思いがします。
いわゆる銀行や外から借りているんじゃなくて、自分のうちの中であるんです。しかし、どうも、大変だ、大変だということに萎縮してしまっている。経済というのは、理論、理屈もありますが、人の感情というのは大変大きいんだと思います。そうした感情の部分をもう少し国の施策の中で訴える必要があるのではないだろうか。
同時に、将来への不安、これはもちろん、これまでの財政再建の中で、医療費は毎年毎年負担がふえそうな雰囲気を感じますし、年金は毎年毎年減りそうな感じがします。しかし、いろいろな方と話しますと、「これ以上医療費がふえるのはしんどいよな、そして年金が減るのはしんどいよな、むしろ、そこさえきっちりしてくれるのなら、みんなで少し出し合いしてもいいじゃないか」という議論も数多くあるんです。
先ほど総理も、国民を苦しめてはいけない、そのような答弁もありましたし、就任の辞に、希望と安心、そして、高齢者の医療費負担を当面一割から二割徴収するのを凍結する、こんな施策も打ち出されました。まさに、総理はそうした国民の皆さんの不安感を取り除こう、という政策をとっていきたいというふうに私はとらえております。
それで、実はこれは読売新聞の一月二十五日の記事でありますが、国家観をとらえた世論調査、これは連続して五年ぐらいずつやっているわけでありますが、この中で、国民の皆さんが小さな政府を望むか、大きな政府を望むかと。これまではどちらかというと小さな政府志向が大変強かったんです。しかし、今回の世論調査を見ますと、小さな政府を望む人は、五年前四七%が三八%に減ってきた。逆に、大きな政府を望む人は二九%から三三%にふえてきた。
大きな政府というと、スウェーデンやフィンランドみたいになってしまうので、むしろ私は中ぐらいの政府かなという思いをいたしますが、この裏づけには、やはり将来に対する不安、そうすると、医療や年金や教育をしっかり国の責任でやってほしい、そういう皆さんの思いが改めて強くなってきていると思いました。
これまでの改革は、どちらかというと、財政が厳しいから、それはもう国民の皆さん、自助努力でやってください、そういう改革だったと思うんです。しかし、こういう国民の皆さんの、世論調査を見ますと、むしろやはり、そうした部分はしっかりと国でやってくださいよと。そして、ここで、同じ世論調査の中にある、社会保障は政府が手厚く行うべきで、そのために税金などの負担がふえても構わない、こういう比率が、まだ逆転こそしておりませんが、高まってきています。
そういうことを考え、総理にお伺いしたいんですが、総理の考えるこれからの日本というのは、国のサービスを落とします、厳しいですからサービスを落とします、もちろん税金は上げませんよ、税金は上げませんからサービスは自分でやってくださいということなのか。それとも、国はこうしたサービスはしっかりやりますよ、現状を担保しますよ、そのかわり、足りない部分については皆さんお互いに相互扶助でいきましょうよ、皆さん出し合っていきましょうよと。まさに、自助努力の国なのか、そうした相互扶助の国なのか、いわゆる小福祉・小負担の国なのか、中福祉・中負担の国を求めるのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。 |
○福田内閣総理大臣 これは、その時代背景というものがかなり大きな要素を占めるんだろうと思います。
私は、若いころ、要するに就職したころから高度成長になったんですね。ですから、余り将来のことを考えないでも自分の将来はこの経済成長の中で十分な所得は確保されるだろう、それで安定した生活はできるだろうと、余り将来のことを考えなかったですね。
しかし、このように低成長と申しますか安定したと申しますか、成長度が低くなってまいりますと、やはり将来どうなのかなということを心配せざるを得ないような状況にあるというふうに私は思います。日本はそれだけ変化しているというふうに思います。国民の意識も変わってきていると思います。
昔は、自分でやっていけるんだ、こういう自信を持つ国民が多かったと思いますけれども、今、こういうような状況の中で、ましてや日本は高齢化社会だということ、このことは意識に対する非常に大きな影響を与えているというふうに思いますけれども、そういう中で、やはりここら辺は社会の制度も少しずつ変えていかなければいけないのかなというような、私は個人的にはそういう思いを持っております。
ですから、そういうことを国民の皆さんがどのようにお感じになっているかということは、よく私どもも政策決定する上において皆様のお考えを反映させていかなければいけないという思いも持っておりますので、そこで、いろいろな角度からの議論をしていただこうというわけで国民会議的な社会保障会議というものを開催することを決めたわけであります。その中でどのような議論がなされるか、私ども正直言って興味津々というところでございますけれども、国民の期待にこたえるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。 |
○遠藤(利)委員
これから社会保障国民会議をつくって国民の皆さんの声を聞くということでありますから、それは大変大事なことでありますが、やはり内需を拡大する、そのためにはマインドが大変大事だろう。そういう意味で、総理が「私はこういう国づくりをしたい」という、国民の皆さんの声を聞くのももちろん大事ですが、総理としてのメッセージをやはり国民の皆さんに伝える、これが大事ではないかなと思いますので、ぜひお考えをいただきたいと思っております。
次に、農業と環境の問題についてお伺いをしたいと思います。
総理に最初にお伺いしたいんですが、実は私、平成五年に初当選をしたんですが、そのときに実は、ミニマムアクセス米、いわゆる米の輸入がスタートした年でもあります。そのとき、いろいろな議論をしたときに、国を守るというのは、当然、国防、エネルギー、そして食料。もちろん、水と空気もありますが、これは幸い日本は今のところ満たされておりますから、この三つの話をしたときに、都市の皆さん方は、国防も自給できていませんよね、そしてエネルギーも大半は輸入ですよね、そうすると、二つ輸入しているんだから食料だけ自給したって意味がない、それは安いものを買った方がいいじゃないですかという議論があったんです。
私たちは逆に、いや、二つ輸入しているんだから、せめて一つのカードだけは大事にしたい、外交のカードになるでしょう、やはり食料は自給すべきじゃないですか、そんな議論をしたんですが、残念ながらその当時はなかなか理解を得られなかったように思っております。
最近、こうして世界的な食料不足の懸念あるいは水問題、東大の教授の試算なんかによりますと、農業による水の輸入は六百二十七億トンというふうにも言われていますが、世界で水不足が重なると、これだけの水を日本は実際輸入しているんですよと、こんな試算もあります。
そこで、総理にお伺いしたいんですが、先ほど申し上げました、国防もエネルギーも輸入しているから食料も輸入したって同じだという考えなのか、それとも、国防とエネルギーは残念ながら自給できていない、せめて農業、とりわけその中でも主食である穀物についてはやはり自給するだけの手だてをとっていきたい、どちらのお考えか、お伺いしたいと思います。 |
○福田内閣総理大臣 これも時代により考え方が随分変わってくるな、こう思うんですけれども、石油もそうですよ。あるときは、こんなのは金を払えば買えるんだ、こう言っておりましたけれども、今やそれだけでは済まないような状況になりつつあるということです。資源も同じことです。資源の中で食料資源というものもございますけれども、食料だって、今まで、極端なことを言う方は、金を払えば幾らでも輸入できるんだからいいんだ、日本は金を持っているんだ、こんな乱暴なことを言っていましたけれども、そうはいかない事情が今各所に出てきているということだと思います。
一つは、温暖化で農業の維持というものができるかどうか、水の問題ですね。そういうこともございますし、また、人口だって、世界の人口は今63億と言っていますけれども、それが七十億、八十億というふうになるのは、これは相当近い時期に実現する可能性があるわけでございます。私は、食料を海外で幾らでも買えるんだなんというふうに考えているのは、これは極めて危険な考え方だというように思いますので、ここら辺は日本全体で農業に対する理解をさらに深めていく必要があるんだろうと思います。
恐らく、国民世論に伺えば、今まではまあ割合のんびり考えておったけれども、しかし、今はかなり深刻になりつつあるのではないかというふうに思いますので、我々政治家としても、そういう考え方というものは正しいというふうに思っております。 |
○遠藤(利)委員
今、総理から大変力強い話を聞きまして、実はほっとしております。昨年末の米の低下等で大変農村も疲弊しておりますし。産業として成り立つ農業というのも一部にはあります。しかし、米とか穀物、例えば今日本が輸入しているアメリカ、カナダあるいはオーストラリアは何百ヘクタール、何千ヘクタールの世界です。では、そこと同じように日本は企業化してできるか。少なくとも、花とか果物は別かもしれません、しかし穀物に関しては、私は大規模化しても無理だと思っております。ですから、これは国が責任を持ってやっていくんですよ、そういうふうな覚悟が必要だと思います。
同時に、この前のこの議論の中で企業参入が少ないという話がありました。しかし、今言いましたように、企業化したとしても、数十ヘクタールあるいは百ヘクタールぐらいでは世界の中で価格的に太刀打ちできないんです。
もう一つ、これは大事な問題で、地域の中のいわゆる地域力が減っていく。実は、大規模なスーパーができて、消費者は便利になりましたよと思っているうちに中心商店街はがらがらになってきて、そのために消防団やいろいろな人がいなくなって、結果的にまた何か補てんをしなきゃならなくなってくる。
企業化するというのは、一見、見た目はいいんですが、実態的には地域崩壊をしていく、まさに農村社会が崩壊していく。そこは十分に考える必要があるのではないだろうか。後継者がいなくなったということは、それだけ魅力がないということですから、国として、とりわけ穀物に対する支援というものをもっともっと厚くする必要があるのではないだろうか。
そういう意味で、今、逆転現象で、国はそうやって自由につくってください、しかし農家の皆さんは「我々は国のために米を一生懸命つくるんです」これは本来逆なんですよね。国はつくってください、しかし農家の皆さんは採算がとれるかどうかでやっていく。それだけ農家の皆さんが、長い間、私の地元の農業学校なんか流汗悟道なんていう教えがありますが、精神論も含めて、文化を含めて農業をやってきた。そこに対する国の支援がこれまで大変薄くなってきたのではないか、どうしても合理性にのまれてしまったのではないだろうか。そんな意味で、総理から今大変力強い話を聞きましたので、改めて、そうした米対策も含めて農業政策を我々はもう一回考え直していくべきではないだろうかと思っております。
時間がありませんので質問を飛ばしますが、昨年の米対策の中で、エタノール米あるいは飼料米、こういうものに対しても品目横断の中での対応をしていきましょう、こんな決定をされました。
実は、私も、エタノールに大変興味があって、いろいろな地域に視察に行ったりもしておりますが、同じ田んぼで放棄地が三十八万ヘクタール、では、麦と大豆をつくってくださいといってもなかなか、今まで湿田ですから、これを乾田にしてというのは、大変コストもかかります、難しいんです。適地もあります。同じ米ですから、食べない飼料米あるいはエタノール米、大変効用があると思うんです。
ただ、残念かな、まだ技術的に、とりわけエタノール米については新潟県あるいは北海道でスタートをしただけでありますが、こうしたエタノール米をつくるには、やはり大変コストもかかります。現実的に、ここでいろいろな品種改良をやったとしても、そう簡単に採算がとれるとは思えないんです。そうすると、やはりこれに対して国としての支援をやっていく。
場合によっては、先ほど道路特定財源の話がありましたが、特定財源は当然環境対策に使うわけですから、ガソリンの中にエタノールをまぜる、まさに、同じ道路を使うための財源になるわけですから、そうしたエタノール米の生産に対して道路特定財源で補てんをしていく、そんなことも私は方法の一つとしてあるんだろうと思います。
国土交通大臣、お考えをお伺いしたいと思います。 |
○冬柴国務大臣 運輸部門におけます地球温暖化対策を推進するためにエタノールの普及促進を図るということは、京都議定書の目標達成に向けても取り組むべき重要な施策であることは十分に認識をいたしております。
ただ、道路中期計画では、地球温暖化対策として、道路整備等により、自動車交通の年間CO2排出量を十年後までに一千六百万トン削減するという目標を掲げているわけでございます。
そのためには、いろいろな政策をとらなきゃいけないわけでございますが、環状道路の整備による渋滞解消とか、あるいはLRT、次世代の路面電車ですね、こういうような新交通システムを採用する等、そのような公共交通促進に関して積極的に今取り組んで、CO2削減に取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、特定財源は、先ほども述べましたけれども、地域の自立、活性化に役立つ道路の整備や災害に耐えられる橋梁の維持補修等、あるいはあかずの踏切対策など、国民生活に欠かせない対策に充てるということがまず必要でございます。
そういう意味で、納税者であります自動車利用者、いわゆるドライバーの方の理解が得られるかどうかということでありますので、エタノールの問題につきましても、その観点から今後検討しなければならない課題だろうと思います。 |
○遠藤(利)委員
まさに環境対策、道路を利用する上での環境対策として私は十分考えていいのではないだろうかと。今結論をここで、すぐやれと、ただ、物がないものですから、どのぐらい出てくるかという問題がありますが、ぜひ御検討をいただきたい。
実は、これは、今話がありましたように、工程表をつくって、とりあえず二〇一〇年までには五十万キロリットルつくりましょう、こう言っているんですが、なかなか進まない。簡単でないのは私もわかっております。ただ、せっかくやろうとしても、省庁間の連携が悪いのか、いま一つうまくいっていないところがあるなという気がします。
例えば、一月二十二日に、これも読売新聞ですが、「バイオ燃料島構想 頓挫 政府と元売り 対立」。ETBE方式もE3方式も、いろいろな方式でそれぞれみんな努力をして技術開発してやっていきましょう、これはそれでいいと思うんです。ただ、E3直入のときに、ガソリン業界の皆さん方が売らないというのは何だろうかな、やはり連携はしっかりやっていく必要があるんじゃないか。大した量じゃないわけですし、ましてや直入について、アメリカやブラジルが、蒸気圧の話を業界の皆さんはされますが、では本当にNOxが大変でもうひどいと言っているかというと、決してそうではないですよね。
ですから、ETBEを否定するわけではありません、いろいろな方法でいいと思うんです。ただ、少なくとも、E3直入に対して、石油を売らない、油を売らないなんて言わないで、そこはそれでしっかり協力しましょうというふうなことがまさに省庁間の連絡として必要だと私は思うんですが、経産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。 |
○甘利国務大臣 バイオエタノールを含むバイオ由来燃料の導入というのは、エネルギー源の多様化と環境問題から、三省で連携をとって進めているところであります。
石油業界が懸念をしていますのは、E3の場合だと、水が混入すると燃料の性能が極めて低下してしまうということと、環境問題で若干の懸念があるのではないかということ。それからE3、バイオエタノールは簡単にETBEに変わりますから、これはイソブテンをまぜればいいことでありますということを言っているわけであります。ただ、その施設が全国にないんですね。施設を全国につくれば、E3なりE10なり、バイオエタノールはすぐにETBEに変えることができる。そうすると脱税防止にも、つまり、どこでも混入ができますから、それをガソリンと称して売るということがない、ということ等の懸念を表明しているわけでありまして、これは協力は協力として、ちゃんとやらせていきたいと思っております。 |
○遠藤(利)委員
いろいろな議論がありまして、私もしばらく勉強させていただいてわかっているんです。ただ、やはり連携、お互いに走っていくときに協力し合うというのは大事だと思いますし、工程表どおりいけば、当然今のままじゃ進まないということですから、ぜひ総理のそうした強力な指導力をお願いしたいなと思っております。
あと時間も余りありませんので、アジア外交と教育、スポーツについて簡単にお伺いをします。
総理がこの前の施政方針演説で留学生三十万人構想という話をされました。留学生というのは二つあって、一つは、受け入れて、そしてその留学生の皆さんが国へ帰って、その国の繁栄に寄与する、これも一つあります。もう一つは、留学生あるいは研究生を受け入れることによって日本の知的な力が高まる、この両方です。
アメリカだって、世界からいろいろな留学生、研究者を集めて、それをアメリカの財産にしているわけです。私は、この三十万人構想、大変すばらしい発想だと思いますし、総理がこれまで、これは福田赳夫元総理大臣が大変力を入れた、そのこともあって、総理もいろいろな会合へ出席されてこの留学生のことに取り組んでおられるということですが、正直、三十万人というのはなかなか大変だと思います。
そこで、一つは、例えば日本の大学に、今、立命館大学や早稲田大学は国際学部をつくっていますが、そうした各大学等に国際学部をつくっていく、こんなことも含めて私は必要だと思いますが、この留学生問題について総理の見解をお伺いしたいと思います。 |
○福田内閣総理大臣 我が国は、大きな方針として、開かれた国、こういうことを言っているわけですね。要するに、今、経済の面においても、海外に対する依存と申しますか、経済の割合というのは年々ふえているんです。今まさにアジアが非常にふえてきている。
なぜか。それは、アジアの経済も順調に伸びているんですね。そして、日本はゆっくりですけれども、非常に大きなスピードでもって伸びているそういう国々とこれから交流を深めていくというのは、これは経済的にも、それからまた、経済を活性化するためには人的な交流も深めていく必要があるというように思います。別にアジアだけというわけではありません、世界を相手にしてということでありますけれども。
そういうふうな観点から考えますと、我が国の留学生というのは、ほかの国に比べてちょっと少ないんじゃないかと思っております。今現在、年間の留学生の数というのは十二万人ぐらいでございますけれども、これは随分ふえたというふうにも言われているんですけれども、しかし、ほかの国、欧米に比べますともうはるかに少ない割合なんですね。
そういう意味からいっても、我が国は果たして開かれているのかどうかということもあります。将来をにらんだ上でそういうような面における国際化というのは進めていく必要があるし、また、現実的に考えると、我が国の学生の数は減るんですね。そうしたら、キャパシティーはあるんですよ。ただ、受け入れるためには、我々はそれなりの覚悟が要るんじゃないかと思いますよ。やはりそういうふうな、海外から来た人を温かく受け入れるということ、そしてまた、海外から来て日本語で困るというようなことが理由になってはいけないと思いますから、語学のことについても格段の改善をしていく必要があるんだというふうに思っています。 |
○遠藤(利)委員
実は、英語教育がそれに関して必要になってくるわけですが、小学校で英語をやるかどうか、これはやった方がいいに決まっているんです、ただ、ほかの時間との兼ね合いの問題です。問題は、大学入試のときに読み書き中心ですから、どうしても中学、高校の英語はそうなってくる。
ですから、大学入試で英語をやめてしまって、そしてTOEFLで何点だったらうちの大学は入学試験にさせますよと。そうすると、おのずと中学、高校の英語は変わってくると思うんです、ちょっと本当は逆のような気がしますが。むしろそこで、TOEFLさえできれば留学できるんですから、それを大学の入学条件にしていく。それをすることによって自動的に変わるのかなと。
だって、フィンランドなんかは、赤ちゃんのうちから吹きかえしないんです。赤ちゃんがテレビを見ても、吹きかえしないで字幕です。自動的に頭の中に入ってきます。英語教育はやりようがいっぱいあると思いますが、大学入試、きょう答えを求めませんが、ぜひ御検討いただきたい。
最後に、スポーツを一言だけ。
ことしは北京オリンピックの年です。残念ながら、最近、国際大会が低迷をしております。総理は今回の所信表明演説で、今までは知育、徳育、体育という話だったんですが、総理は、スポーツ、徳育と話をされました。多分、スポーツに対する思い入れ、カヌー協会の会長もされていらっしゃるようでありますし、思い入れがあるのでこういう表現になったと思いますが、それには体制整備が必要で、スポーツ庁の設置とか、いろいろ私も自民党のスポーツ立国調査会の中で議論をさせていただいておりますし、また、超党派の新スポーツ振興法の制定を今、その事務局長としても検討させていただいております。
そうした中の延長に東京オリンピックの招致というのがありますが、国際大会、東京オリンピック、これはみんな、大きな大会を招致するには、政府保証をやらないと相手にされないんです。ロンドン・オリンピックも、実はブラウン現在の総理、前の財務大臣が政府保証しますと。都市と都市の戦いから国と国との戦いにもう既に変わってきている。
そういうことを考えますと、この政府保証、そしてまたスポーツ庁の設置あるいは新スポーツ振興法の制定、こうした一連の流れの中でスポーツ振興策が必要かと思いますが、最後に総理から御見解をお伺いしたいと思います。 |
○福田内閣総理大臣 私は、この間の施政方針演説でもってスポーツというように申し上げました。あえてスポーツというふうに申し上げた理由は、スポーツの方が体育よりも前向きに、また広い概念でとれることができるのではないかということです。体育と申しますと、やはり個人的な体力みたいな、そういう感じがするんですね、何となく。スポーツと言いますと、スポーツ精神という言葉がありますよ。体育精神とは言いませんよね。そのことからわかりますように、スポーツという中に、やはり道徳的な、社会生活上必要なものを教え込むような、そういう意味合いが込められているのではなかろうか、こう思いまして、あえてスポーツというふうに申しました。
スポーツは、私は、そういう意味において、社会を引っ張っていく一つの大きな力になる可能性のある要素でありますので、力を入れていく必要があるんだろうと思います。ただ、時にはスポーツという名をかりて悪いことも起こるようでありますけれども、そういうことは論外でありまして、そういうことでない、健全なるスポーツ、そしてスポーツ精神を国民の中に涵養する、そういうものを、その成果を発露する場としてのオリンピックというのは大事だと思います。
北京オリンピックがことしございますけれども、それにも健全なるスポーツ精神で日本の選手団が臨むということも大事だし、そういう意味における応援も必要だし、しかし、我が国も何とか第二回のオリンピックをやりたいなということでございます。私、東京オリンピック大会の名誉会長でございますから、一生懸命推進に努力したいと思います。 |
○遠藤(利)委員
時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。 |