5日、米大統領選が行われ、現職のオバマ大統領が再選されました。
投票直前、ほとんどのマスコミがオバマ優勢を伝えていた通り、票数では約6000万票と5800万票とせったものの投票人数は 332人と206人で、結果的には前回ほどの勢いはなかったもののオバマ大統領の圧勝でした。
米大統領選は、直接投票できる選挙人の数がカリフォルニア州の55人などと各州ごとの人口に応じて決まっており、全体で538人です。そして、各州ごとの選挙結果によって一票でも多い方が全投票人を獲得出来るという「総取り方式」ですから、票数が接戦でもこうした結果になりました。
元々からカリフォルニア州やニューヨーク州の東西沿岸部や北東部は民主党、内陸から南東部にかけては共和党が強く、スイングステイト(揺れる州)と呼ばれるアイオワやフロリダ州などの7〜8州の結果次第と言われており、その為にどの候補もこれらの州に選挙活動を集中させます。今回はこれらの州のほとんどがオバマ勝利でした。
主な勝因は、経済が少し持ち直しの状況にある▽共和党・ロムニー候補の保守的な主張が中間派やヒスパニック系の有権者の支持を得られなかった、ことなどがあげられます。
世界経済が低迷しているなか、2日に発表された失業率は思ったほど悪くなく、不動産の動きも少しづつ活性化していました。また、3大自動車メーカーが政府のテコ入れで動きが活発になり、オバマ大統領はこれらが評価されたといえそうです。
反面ロムニー候補は、知事時代に導入した健康保険制度や同性婚と中絶を容認するなどのリベラルな考えが保守派の反発を受けました。共和党の候補になるためにあまりにも保守的な主張をせざるを得なかったため、オキュパイッドウォールストリートなどと言われる貧困層や中間派の支持を得られなかったことも敗因でしょう。強烈な不法移民政策が、増加しているヒスパニック系に毛嫌いもされました。
オバマ大統領には、政治家としての運もありました。先月末にアメリカで大規模な被害をもたらしたハリケーンに対し、迅速な対応で国民の大きな評価を得たのです。これまで、大統領を批判していた共和党のニュージャージー州知事は、大統領と一緒にテレビに収まり、大統領の災害対策を絶賛していました。
日本にとってどちらの候補が良かったかは分かりませんが、オバマ大統領はアジア重視に転じています。TPPや円高政策継続などの不安はありますが、これまでの継続性もあり落ち着いた付き合いが出来ると思います。
私の息子の寛明は縁あって5ヶ月間、外国人としてただ1人ボストンのロムニー選挙事務所でインターンをしていました。私にとっては、共和党政権ができれば息子を通じ太いパイプが築けただけに少し残念な気持ちも残ります。
韓国の李明博大統領は4年前にオバマ大統領が初当選した際、真っ先にアメリカに乗り込み信頼関係を築きました。米軍普天間飛行場移設問題をこじらせた日本の鳩山由紀夫元首相とは大違いです。まずは自民党が早期に政権を奪還し、壊れた日米同盟の再構築に務めたいと思います。 |