26日、社会保障と税一体改革関連法案が衆院で可決しました。
自民党は今回、民主・公明両党と協議をし、民主党のバラマキ政策を撤回させた上で法案を修正、 苦渋の選択でしたが法案に賛成致しました。 私も支援して下さる方から「マニフェスト違反の民主党の延命に手を貸すだけ」等と厳しいご批判を頂きましたが、 増え続ける社会保障費の対応という国難に、「決められない政治」から脱却し法案成立を選んだのです。
莫大な財源が必要な「最低保障年金制度」「後期高齢者医療制度の廃止」等は、 「社会保障制度改革国民会議」で1年かけて是非を議論することになりましたが、 実質的には民主党のバラマキ政策を撤回させたため、民主党の看板政策は白紙に戻ります。 民主党がこだわった「総合子ども園」の設立も、株式会社の参入等と不安定な要素が多かったため、 自公が進めた「認定子ども園」の拡充に落ち着きました。
首相は「マニフェストは撤回していない」と強弁していますが、 3党合意により、民主党の主要な社会保障政策は実現不可能となりました。 もともと前回の衆院選で「増税がなくても無駄削減でジャンジャン財源が出てくる」と訴えたのは民主党。 首相自身も26日の国会答弁で「地元でうそつき、ペテン師と罵声を浴び『ばか扱い』もされる。」と認めています。
しかし、法案を採決した26日の衆院本会議場で、私は目を疑いました。 3党の実務者が血の滲むような努力で合意した法案にもかかわらず、 民主党は小沢一郎元代表を中心に57人が反対票を投じました。棄権も15人(病欠を除く)にのぼり、 造反総数は72人にものぼります。党代表たる首相の統治能力は見る影もありません。
さらに驚くのは輿石東幹事長。首相が「政治生命を懸ける」と言い切った法案にもかかわらず、 「造反者を除名にしろという奴を除名にしろ」と言い放ちました。 この期に及んでも、処分を甘く済ませ、ひたすら党分裂の回避に走る姿は見苦しいものです。 何回かの輿石小沢会談をみても却って混乱を煽っています。
輿石氏の姿勢を許す首相は、党内に多くの反対者を抱えながら所属議員を説得しギリギリの合意に踏み切った 自民・公明の覚悟を全くないがしろにするものです。
首相の「政治生命を懸ける」とは、これほどちっぽけな覚悟だったのでしょうか。
首相が本当に「嘘」のマニフェストと決別し、自公と一緒に財政再建の道を歩もうとするなら、 党分裂を恐れてはなりません。その1丁目1番地として、国民に信を問い直す覚悟が不可欠です。
間もなく法案の参院審議が始まります。首相が参院の採決までに「覚悟」を示すことができなければ、 修正協議で築いた民自公の信頼関係は崩れ、決められない政治が続いて行きます。 そうなれば、自民党は真正面から野田政権と対峙し、政権交代を求めて行きます。 |