衆院で消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法案の審議が始まりました。 野田佳彦首相は「今国会の成立に政治生命を懸ける」と言及しますが、 言葉に行動が伴わず、どうしても本気度を疑ってしまいます。
「消費税の問題はもはや先送りできない。『政治生命を懸ける』という言葉に掛け値はない」 野田首相は8日の衆院本会議でこう力説しました。しかしその直後の民主党側の質疑者には、 前々回の参院選で徹底的に自民党の年金政策を批判した長妻昭元厚生労働相が出てきました。
長妻さんが中心となって主張し民主党のマニフェストとなった「最低保障年金」は 今持って実現していないだけではなく、今回の法案で最も実現不可能なため撤回すべき政策なのに、 その人物を民主党の代表として質疑を行わせるのではとても私達野党と協議をしようという考えが見えず、 私の側で様子をみていた谷垣禎一総裁は、「本気でやりたいと思っているのだろうか」と唸っていました。
そもそも民主党は同じ8日、増税に反対する小沢一郎代表に対する党員資格停止処分の解除を決めました。 総理自らが「判決確定まで」と民主党内で決定していた条項を無視してのことです。 検察官役の指定弁護人は9日、東京高裁への控訴を決めましたが、後の祭りといえるでしょう。 他党のことですが、無節操な民主党の態度に首をかしげざるをえません。
どうみても首相は処分解除を主導した輿石東幹事長のいいなりになっているようです。 輿石氏は「党内融和が第一」と訴えますが、それなら増税法案の成立など夢のまた夢です。 党内で意見がまっぷたつに割れたままで、どうやって自民党に協力しろというのでしょうか。
もう1ついえば、首相は前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の参院での問責決議を依然無視しています。 特に前田大臣は、公職選挙法の事前運動と利益誘導の容疑で東京地検に告発されていますが、お構いなし。 自民党政権時代なら即刻辞任している問題ですが、首相は事態打開に動く気配がありません。
最近の自民党内には「結局消費税法案をやる気はないのでないか」「『政治生命を懸ける』という言葉は詭弁」などと、 首相に対する不信感が急速に広がっています。「消費増税」という大懸案を成し遂げるためには、 党を割るくらいの覚悟と周到な環境整備、地をはうような努力が必要です。しかし、今の首相にはそのどれも見えません。
急速に膨張する社会保障費に対処し、将来世代にツケを残さないためにも、私も消費増税は必要だと考えます。 しかし色々なことにケジメを付けられない首相では、協力しようにも出来るものではありません。 首相が民主党内を統率できないというのであれば、潔く衆院を解散すべきです。 そして国民の皆さんに信を問うべきです。
私は、解散総選挙後には、与野党なく協力し、消費税やTPP、日米問題や防衛そして経済対策や選挙制度など、 多くの課題を解決すべきと思っています。 |