8月を迎えましたが、あまり楽しい話題が見あたりません。唯一嬉しかったのは、サッカー女子W杯で優勝した「なでしこジャパン」に国民栄誉賞が決まったことです。大震災や景気の低迷でうつむき加減な国民を奮い立たせた功績は誰がみても栄誉賞に相応しいものです。私も心から拍手を送りたいと思います。私は、オリンピックで金メダルを取った選手には、全員に国民栄誉賞を与えてもいいと思っています。
先日、海江田万里経済産業相が衆院経済産業委員会の答弁で、わが党の同僚議員に「なぜ辞めないのか」と問われ、人目を憚らず号泣しました。海江田さんと私は、かつて同じ釜の飯を食べた仲であり、温厚で優しい彼の性格はよく承知しています。思いつきで理不尽な要求ばかり突き付ける総理が相手ですから「辛いんだろうな」と同情はするのですが、泣きたいのは、そんな人を首相に頂く国民の方ではないでしょうか。
東日本大震災の被災地では、がれき処理が思うように進まず、ハエの大量発生など衛生面の不安が広がっています。菅首相は「8月のお盆までに希望する全世帯を仮設住宅に入れる」と公言していましたが、全世帯入居は9月にずれ込んでいます。義援金の配分も遅れています。
なぜ復興が進まないのか。菅首相が野党だけでなく、民主党内、さらには自ら指名した党執行部から退場を促されても居座り続け、行政や与党内の政策決定過程が機能不全に陥っているからです。
政権に固執するため、「脱原発」など次々と思いつきの命題を繰り出す菅首相。衆参ねじれ国会の状況下では野党との協力関係が不可欠ですが、独断でわが党の参院議員を引き抜くなど、協力したくてもできない環境を作っているのは首相本人です。海江田さんには酷な言葉かも知れませんが、民主党幹部にも、政治生命をかけて首相を交代させようという「覚悟」が見えません。
では自民党はどうするのか。ここは、短期的視点と中長期の課題に分けて考えなくてはいけません。
復興にすぐ必要な法整備などは与野党の垣根を越えて協力しています。先月下旬には、国が原発事故の賠償金の半分以上を仮払いし、迅速な救済を図る「原子力事故被害緊急措置法(仮払い法)」を、わが党を含む野党5党が議員立法として提案し、民主党と修正協議のうえ成立しました。同時に、賠償責任のある東京電力の支払いなどを確実にするための体制づくりのための「原子力賠償支援機構法案」も、政府案を修正協議の上成立させました。
中長期的な課題は腰を据えて対処すべきです。例えば復興財源の捻出。今は赤字国債を発行するための「特例公債法案」の成立が最大の焦点になっていますが、民主党がバラマキ政策の非を認めて撤回し、バラマキ予算を復興費に振り向けさせることです。この法案は菅直人首相が退陣条件に掲げており、民主党執行部は早期成立を求めています。ならばなおさら粘り強く交渉し、国費の浪費に歯止めをかけるべきです。まだ不十分な内容ですが、子ども手当を廃止し、所得制限を入れた児童手当を復活できたのも、先を焦らなかった成果です。
本来なら、民主党の看板政策を降ろしたのですから、ここは衆院解散・総選挙で、改めて国民の信を問い直すときでしょう。「政治空白を作るな」という批判もあるでしょうが、菅首相が居座る今の状態こそが政治空白。まっとうな政治を取り戻すために、どちらが早いか考える必要があると思うのです。 |