東日本大震災の発生から1カ月半が過ぎました。1人の政治家として菅直人首相には心底頑張ってほしいと思うのですが、 「政治主導」を誤解した官僚排除や原発事故での情報の出し渋りなどで、未曾有の「自然災害」は今や「人災」に変わりつつあります。
いきなり「計画的避難区域」に指定され官邸に振り回され続けた福島県飯舘村の皆さんをはじめ、原発についての情報提供が不十分なことから「政府は真実を話していないのでないか」との不信感も増し、今や風評被害は我が山形県を含む東北全体に広がっております。
これまで自民党は、「震災対策に与野党はない」との思いで、政治休戦を宣言して菅政権に協力してきました。がれき処理など緊急の復旧対策となる平成23年度第1次補正予算案も、速やかな成立を期すため、大型連休を返上して審議に加わってきました。
がれき処理などについては一日でも急ぐ必要がありますから歳出そのものには賛成ですが、財源となる歳入については、年金支払いに回す予定の2.5兆円を使うために、その分を消費税を充てるという考え方であり、反対をしようと思っていました。先ずは、子供手当などのバラマキ予算を撤回し、それを震災対策に使うべきとの考えからです。とは言え、野党が予算を決定できない事に加え、成立が遅くなれば復旧事業に不安が出てくるので、止むを得ず賛成致しました。
しかし、状況はなかなか好転しません。官邸には震災対策の会議や本部が乱立したままで、誰がどう統括しているのか、どの組織の指示が正しいのか分かりません。菅首相の「筋違いのリーダーシップ」に政府・与党が右往左往しているようにしか見えず、情けない限りです。
やはり、菅首相には震災対策は荷が重すぎると言わざるを得ません。自民党では26日、全国会議員と次期衆院選候補者を集めた会議を開きましたが、「これ以上菅首相に政権運営を任せていいのか。日本が潰れてしまう。」という声が圧倒的でした。谷垣禎一総裁は「菅首相はそろそろ限界。今後に思いをめぐらせる時が来た」と明言しました。
菅首相の退陣を求める声は、今や民主党内にも広がっており、世論調査を見ても多くの国民が不安を増大させています。 「未曾有の国難なのだから、菅首相に不足があるなら、助けるのが政治家のあるべき姿でないか」という指摘もあるでしょう。「1日たりとも政治空白を生むべきでない。今は政局など望んではならない」という声も真理だと思います。
しかし、政治は何をすべきか。きちんと政治が機能するにはどうしたらいいか。復興には結果的に何が早道なのか。私たち政治家は、こうした事を真剣に考えて判断しなければなりません。
この大型連休以降は、本格的な復興対策となる第2次補正予算案の行方が焦点となります。自民党は子ども手当など、民主党が不急の「バラマキ4K」を撤回し、復興財源に充てるよう強く主張します。菅首相が党内をまとめられず、まともな議論ができないようなら、仮設住宅建設など遅れ遅れの復旧事業や原発対応への地元の皆さんからの不信感など、その政治責任を問わなければなりません。
国民の命を守るのが政治の使命。私も後生に恥じない政治行動を取りたいと思います。
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