「最小不幸社会の実現」。菅内閣のスローガンです。
みんなが幸せになるように聞こえますが、実態はみんなそろって地盤沈下していく恐ろしい考えです。これは社会主義・共産主義の思想と同じで、ソビエトも中国もこうした考えで経済が崩壊しました。現在、両国はともに共産主義と言いながら自由主義経済を取り入れて経済の活性化を図り、数々の課題を抱えながらも中国は世界第2位の経済大国に、ソビエトはロシアと名を変え世界有数の経済・資源大国になろうとしています。
「子ども手当」、「高速道路の無料化」、「農業の画一的な所得補償」、「高校生の授業料無償化」のいわゆる4kのバラマキ政策などは、財源が無制限にあり、経済が限りなく成長している社会であるなら許容できる政策です。
しかし、景気が低迷し、税収の落ち込みでそのための財源がなく、44兆円という、税収を上回る借金をした平成23年度の政府予算案ではかえって景気が低迷し、税収も増えず、結果的に「手当」を貰った子供たちが将来、その借金を払わなければならないという「最大不幸社会」になってしまいます。
菅直人首相は、この予算案を強行採決で衆院通過させようとしています。さらに、収入の裏付けに必要な予算関連法案は衆院に留め置いたまま。通常、予算案と関連法案は同時処理しますが、これは過去10年以上なかった異常な姿です。社民党にもそっぽを向かれ、法案成立の見込みがないからですが、菅首相が私たちに求めた「熟議の国会」という言葉を自分から破る愚挙と言わざるを得ません。
こんな予算案と方向性のない菅政権に対して、国際社会は「NO!」を突き付け、日本国債の格付けを下げてしまいました。それに対して菅首相は、「その事に疎いから」と一国の総理として全く情けない発言しかできませんでした。
こうした状況を考え、私たち自民党は野党の皆さんと一致して今回の予算案に反対します。同時に私たちは、借金を減らし景気回復の兆しとなれるような考えを盛り込んだ「組み替え動議」を国会に提出します。私たちの案を政府が丸のみ修正して予算を再提出するのなら、民主党はマニフェスト違反となり国民に信を問わなければなりませんが、私たちは予算案に堂々と賛成します。
今まずなすべき事は、如何にして毎年2%程度の経済成長を作っていくかです。景気と雇用が低迷している時代において、まずは経済の成長を図り、会社が儲かり、仕事があって給料が上がる施策を取らなければなりません。
それと同時に、消費税の引き上げで財源を作り、医療・年金・介護などの社会保障を国が責任を持ち、国民に安心を広げることが大切です。経済成長と社会保障の安心作りを、車の両輪として一体的に進めなければなりません。
経済が成長し所得が増える期待感と老後や病気時の安心感があって、初めて夢と希望を持った生活が送れます。それには金融政策による量的緩和と財政出動、そして消費税の引き上げを同時に実施する事です。 |