民主党の小沢一郎元代表が強制起訴されました。小沢氏は記者会見で、民主党を離党せず、議員辞職もしない意向を示しました。国会での説明も、裁判が始まることを理由に拒否する考えを示唆しています。
疑惑を持たれた議員が説明責任を果たすのは、国民の負託を受ける国会議員の義務。「裁判に影響が出る」という言い訳一つで国会を無視することは許されません。ましてや、小沢氏が抱える疑惑は、政治資金の流れを国民にきちんと把握して貰う「政治資金収支報告書」の虚偽記載。秘書ら3人が起訴され、虚偽記載額は20億円を超える大事件です。
しかしそれ以上に問題なのは、民主党代表としての菅直人首相の指導力です。小沢氏が国会招致に尻込みする以上、本来は菅首相が決断すればいいだけの話です。あれだけ「脱小沢」と固執していたはずが、我々が求める証人喚問どころか、偽証罪のない「衆院政治倫理審査会」(政倫審)の出席すらあやふやに終わらせてしまいました。
さらに党としてのケジメも『党員の資格停止』など甘いものになるようです。自民党では国会議員が起訴された時点で、離党か除名処分になります。しかし今回菅首相は、党内の小沢系議員に配慮し、ここまで踏み込めないようです。昨年9月の代表選挙以来あれだけ『オープンでクリーンな政治』と言っていたのに。またもや言葉だけです。
さらに菅首相は最近、米格付け会社が日本国債の長期格付け(信頼度)を落としたことを問われ、「私はこの問題に疎い」と信じられない発言をしました。昨年来のギリシャの金融危機は、国の借金が増えてギリシャ国債の格付けが下がり、国債の暴落が起きるのではとの懸念から起きたことでありました。今回の日本と同じようなパターンです。もちろん、我が国はこの借金を他国から借りているのではないので大丈夫だろうという安心感があって危機的状況になってはいませんが、日本の財政赤字比率はギリシャ以上の危機的状況です。
そもそも消費税を上げようとするのは、今後増大する社会保障費を消費税で賄い、国の財政収支を安定させ、国債の暴落を防ぐためでもあります。「疎い」発言を聞くと、菅首相は真剣に財政危機を考えているとは到底思えません。
菅総理が『税と社会保障の与野党協議』を呼びかけるのなら、自民党は『税と社会保障』についてもう既に消費税率まで含め内容を公表しているのですから、先ずは政府・与党が、バラマキ政策を止めて国の支出を減らし、その上でどういう制度にするのかを示さなければなりません。予算委員会の答弁で菅総理が答えたように、「まだ全くまとまっていない」、では話になりません。言葉だけで「与野党協議を」と言っているのは、ただ単に責任逃れにしか聞こえません。
総理大臣の最大の課題は、発言と行動と国民の皆さんからの信頼です。国民の皆さんの信頼を失った菅総理大臣は即刻退任するか、解散総選挙で国民の信を問うべきです。
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