国と世界全体を見据える視点を。通常国会を終えて思うこと。
6月21日、通常国会が終了しました。原油高騰などを引き起こしているエネルギー問題、世界的な食糧危機、サブプライム問題などによるアメリカ経済の停滞と世界経済への影響、そして環境問題など、日本と世界を取り巻く多くの課題について真剣に考え、議論してきたつもりです。
しかし、今国会では「道路特定財源と道路整備」や「高齢者のための新しい医療制度」に議論が集中し、必ずしも国や世界の未来を見据えた、全体的な議論がなされたとはいえない状況でした。参議院で多数を占める民主党が、国会における政策審議よりも、次に行われる解散総選挙だけを考え、特に参議院で十分な話し合いを行わなかったからです。
これまでの国会では、衆参とも多数である与党が、少数意見の尊重という民主主義の原則を守り、少数党の十分な質疑時間の確保をしたうえで採決を行ってきました。また、証人喚問などでは全会一致の原則を守り、証人となる人の人権を十分に尊重した上での委員会開催、などの国会運営をしてきました。
しかし、今回は「ねじれ国会」という状況の中で「国会での審議よりも解散総選挙を」というのが民主党の狙いでしたから、与野党を通じての総合的な論議が進みませんでした。公務員の怠慢や行政の無駄など、民主党が指摘したことについて同じように考えている部分もありますし、新しい医療制度の実施による弊害の見直しなど、与党として早急に対応していかなくてはならないこともたくさんあります。与野党が協調して問題解決すべき場面も多かったのに、と思うと残念です。
最近、国会審議が「劇場型」になってきたといわれています。国政全体を見ての議論よりもテレビ受けするような話題づくりなど、「木を見て森を見ない」議論が多くなりました。解散や選挙を意識するあまり、国民の味方であるかのように装って「人気取り」に終始しているようにさえ思われます。この傾向は、小選挙区制度を導入してから多く見られるようになりました。国政に大局を見る視点を取り戻し、真の民意を反映していくために、改めて中選挙区の選挙制度の良さを再認識しております。 |