えんどう利明--日本を、山形を、元気でいっぱいにします。

後期高齢者医療制度の疑問にお答えします。

 新しい制度になって、いっせいに批判を浴びています。「ネーミングが悪い。私たちは姥捨て山か!」「年金から天引きとは、だまし討ちか!」などと散々です
 
 もちろん、私自身も完璧な制度であるとは思いませんが、一番の原因は説明不足ではないでしょうか。法案が成立してから2年が経っているのですが、お年寄りの皆さんだけでなく、担当する県や市町村職員までもが十分に理解していません。大いに反省しお詫びをしなければなりません。そこで、皆さんの疑問についてお答えしたいと思います

Q.1 どうしてこんな制度を作ったの?
 国民誰もが、どんな所に住んでいても同じような医療サービスが受けられる。これは日本では当たり前ですが、こんなに整備された制度をもっている国は、世界でもそう多くはありません。たとえば、アメリカでは国民皆保険制度がなく、民間の医療保険制度に頼っているわけですから、人それぞれ、所得によって入れる保険が違います。それによって受けられる医療サービスが違いますし、所得が低く保険に入れない人が16%もいるといわれています。
 
 こうしたことから見ましても日本の健康保険は良い制度ですが、高齢化や医療費の高額化によって国民医療費が増大し、このままでは、市町村ごとに運営されている国民健康保険制度(国保)はパンクしてしまいます。今、国民医療費はおよそ30兆円で、そのうち75歳以上の皆さんの医療費は11兆円です。これから毎年およそ1兆円の医療費が増加していくという試算も出ています。そこで、高齢者の方々の分を県単位でまとめて国民みんなで公平に支えようとしているのです。

Q.2 高齢者だけを切り離す「姥捨て山」にするんじゃないの?
  必要な医療費の5割を税金でまかない、4割を今働いている人たちが加入している医療保険で負担し、残り1割を75歳以上の皆さんにお願いするものであって、高齢の方だけにさらに重い負担をお願いするような誤解を招いていることはたいへん残念です。

Q.3 今までの国保などの保険料に加えて新たな負担が必要になるの?
 75歳以上の方が、今まで国保などに納めていた保険料を止めて、新しい制度の保険料に切り替わるのであり、負担が追加されるのではありません。

Q.4 保険料負担は上がるの?下がるの?
 大都市や高額所得者は保険料が上がる傾向がありますが、山形県の多くでは保険料が下がる傾向にあります。
<山形市の場合> 所得などで一人一人違いますがモデルケースとして

  現在の国保 後期高齢者  
老齢基礎年金受給(月6.6万円)単身世帯 月1,458円 925円  
二人とも老齢基礎年金受給(一人6.6万円)夫婦世帯 月2,080円 1,860円  
夫が平均的な厚生年金受給(月16.7万円)夫婦世帯 月9,320円 7,650円  

Q.5会社員や公務員の子供に扶養されている場合は?
 新しい制度に入ることによって新たな保険料が発生しますが、その緩和策を行います。
(1)今年9月までは保険料を免除。
(2)10月から来年3月までは1割負担。(山形県では平均で一人月300円)
(3)その先については、皆さんの意見を聞いて政府与党で再度議論します。

Q.6自営業や農業をしている子供に生活の面倒を見てもらっている人は?
 今までは、多くの場合、子供さんが自分の分と一まとめにして国民健康保険料として払っていましたが、今度からは高齢者の方の分をご本人に収めていただくことになります。

Q.7保険料負担が増える地域があると聞くけど?
  東京23区など、財政的に余裕があり、独自の公費負担をしていた都市部はそれがなくなるために本人負担が増え、逆に地方では本人負担が減る傾向にあります。今まで都市部では本人負担が少なく、地方で本人負担が多く、保険料負担に最大5倍の地域間格差がありましたが、新制度では地域間格差が2倍に縮まります。

Q.8なぜ保険料を年金から差し引くの?
 
そもそもの考え方は、高齢者の皆様に金融機関の窓口でお支払いいただくなどの手間をおかけすることなく、また役所の経費を節減し、制度の安定をめざすために2カ月分ごとに年金から差し引く方法が選択されたのです。(年金額が月1万5千円未満の方などは直接ご自身での支払いとなります)

Q.9将来的に負担はどうなるの?制度はどうなるの?
 これから高齢化が進むにつれて国民全体が負わなくてはならない医療、年金、介護等の費用は増えていきますが、費用を支える現役世代は、少子化が進むにつれ減っていきます。この制度で当分は安定しますが、やがてまた費用負担の問題は発生するでしょう。
 
 いつでも、誰でも、どこでも、少ない費用で高度な医療を受けられる、世界でも誇れる医療制度を確立してきた私たち日本人。国民みんなで平等に負担し合い、支えあって、将来へ続く制度として大切にしていかなければなりません。

  「うば捨て山」などと、いたずらに国民の不安をあおってばかりではいけません。増える費用をどう負担していくのか、この問題と正面から向き合った検討が必要です。ご意見等お気軽にお寄せ下さい。

 

平成20年5月12日 
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