教育再生という大きなテーマに向けて
1月25日、第162回国会が開催されました。26日、安倍晋三内閣総理大臣から所信表明演説があり、29日から早速論戦が始まりました。
今度の国会の大きなテーマは「教育再生」「格差是正」「少子化対策」そして「政治と金」などについてですが、なかでも「教育再生」は最重要課題になっています。
1月24日、政府の教育再生会議が第1次のとりまとめを行い、総理の指示のもと、1)教師免許更新制の導入 2)教育委員会制度の改正 3)ゆとり教育の見直しによる授業時間と授業内容の拡大、それぞれの法案化を早急に進め、今国会に提出することになりました。また、いじめ問題等の対応について具体案をさらに検討し、5月までに第2次案を、年内中には最終案をとりまとめることになりました。
これら3つの法案の中身については、これまでも文部科学省の中央教育審議会で議論されてきました。また私が自民党文部科学部会長時代にまとめた「国家戦略としての教育改革」の中にも盛り込まれておりました。しかし、それらを実現していくためには、さまざまな難問を解決していかなくてはなりません。
まず「免許更新性の導入」は大半の合意を得ていて、審議はスムーズに進むと予想されますが、教師だけを問題にするのではなく医師や裁判官など、国が認定する重要な免許制度についても議論されなくてはなりません。
次の「教育委員会の改革」は、現段階でも意見が分かれています。現場の学校により多くの権限を与えるため、「県と市町村という教育委員会の二重行政を改めなくてはならない」との意見や、知事や市長に権限を直結するため、「教育委員会制度そのものを廃止すべきである」といった意見など、さまざまです。
私自身は、「県の教育委員会は高等学校の教育に特化して権限と責任を持ち、それ以外の部分は市町村の教育委員会を広域化して権限を強化し、人事権をも与えるべきである」と考えています。
また、現場に即した、心の通う教育を実践していくために「学校長にもっと権限を与えるべきだ」とも思っています。同時に、「教育の最終的な責任は国にあるわけですから、そのための指導監督権は国が持たなくてはならない」という意見も持っていますが、これは地方分権との関係性から紛糾する可能性があります。
また、「ゆとり教育の見直しによる授業時間の延長、体験学習の実施など学校での授業内容の拡大」についても詳細まで議論されなければなりませんが、現状では意見がかなり分かれています。
このように3つの法案だけをみても、それぞれの立場の人がいろいろな意見を持っていて、まとめていくのは容易ではありません。まさに「言うは易く行うは難し」を実感しています。
2月6日、中央教育審議会が新しいメンバーを加え再スタートしました。大臣からは「できれば2月中、遅くとも3月初めに答申をいただきたい」との意向が示されましたが、生煮えの法案にならないよう、じっくりと議論し、効果の上がる結論を導かなくてはなりません。
教育は国の礎です。日本の未来を支えていく元気な子供をつくるため、公教育の信頼を回復し、恐れることなく改革を推進してまいります。
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