インドネシアを訪問しました。
12月2日から6日早朝の日程でインドネシアを訪問してきました。
1つ目の目的は、一昨年に起こったスマトラ沖大地震や、今年の中部ジャワ地震で被害を受けた世界遺産の視察です。ヒンズー教の寺院であるプランバナンや仏教の寺院であるボルブドールなどの修復を日本の文化庁が依頼されており、その被害の状況を見てきました。
2つ目は、アジア防災科学技術会議への出席です。同会議の主催者である日本政府の代表として、インドネシアやフィリピンで起こる地震や津波に対し、科学技術を駆使して防災対策をしていくためにはどうすればよいか等について協議しました。この会議の開催は、昨年、小泉元総理大臣とインドネシアのユドヨノ大統領との話し合いによって決定されたものです。
そして3つ目は、アジア太平洋地域宇宙機関会議への参加です。これはアジア太平洋地域における宇宙利用の促進を目的として開催されているもので、今回で13回目になります。10数カ国が参加して情報交換を行うとともに、通信技術や地球観測技術支援、そして、そのための人材育成などについて協議してきました。
防災技術や宇宙開発の分野で日本はアジアのリーダーであり、技術面や資金面での支援など、一層の貢献が期待されています。11月末に死者・不明者数百名という台風の起きたフィリピンでは、泥流の流れを日本の観測衛星が把握していたため、速やかにフィリピン政府へ情報提供がなされたことなど具体的な例も挙げ、主催者として挨拶してきました。 また、共同主催者であるクスマヤント・インドネシア科学技術大臣とも会談しました。
今回、初めてインドネシアを訪れ、いくつかの課題があると感じました。
その1つは、これまで有数の石油輸出国であったインドネシアが、昨年から輸入国に転じたため(天然ガスの同国からの輸入は継続しているものの)、日本からの関心が薄れていること。
2つ目は、同国にとって日本が貿易相手としてナンバーワンの国であっても、日本にとっては貿易額が拡大せず、新たな産業開発がなされていないため、魅力ある投資先になっていないこと。
3つ目は、国民の85パーセントがイスラム教のため、日本人にとって宗教的ななじみが薄いこと・・・などです。
しかし、戦時賠償やその後の経済援助などを通じて日本に対しての親近感が強く、インドネシア国民の実に80パーセントが「日本を好きだ」というアンケート結果もあり、アジア政策の一環としても大切にしなければならない国だと思います。
クスマヤント大臣との会談のなかで、私はエタノール開発のための協力関係について議論をしてきました。地球温暖化対策のため、また、世界の原油価格が高騰する現状のなかで、石油以外のエネルギーの開発、たとえば植物を利用したバイオエネルギーの開発が早急に求められているからです。
先日、安倍総理大臣は、日本で車のために1年間に使うガソリン6千万Klの一割をバイオエネルギーで代替する方針を打ち出しました。たとえば、わが国の農村部にある放棄地を利用して稲の大量蜜植栽培を行ったり、荒れ放題の山間にある間伐材の利用などを考えていますが、それだけではとても足りません。サトウキビの栽培などはバイオエタノール製造の有効な方策のひとつであり、栽培適地のインドネシアでの開発に協力する事が可能だと考えたからです。
アジアの大国であり日本にたいへん友好的な国であるインドネシア。その発展のために、単に一方的な援助ではなく、お互いの発展に寄与する方向で、良い協力関係を築いていくべきであると考えています。
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