生徒数増減の行く末は・・・。
10月17日、学校選択制を導入している東京都品川区の中学校を視察しました。
選択制によって生徒が増加している荏原第三中学校では、区の若月教育長、楚阪校長の出迎えを受け、早速校舎内を見るとともに教職員と意見交換をしました。 同校を訪れていちばん印象的だったのは、すれ違った生徒たちの元気な挨拶と、きびきびした行動です。校舎内も掃除がゆき届きとてもきれいで、「これなら生徒が増えて当然だろう」という感じがしました。
荏原第三中学校では、校長を中心として学校の運営方針を定めるとともに、品川区で実施している学力試験の結果や授業の評価など、外部評価も積極的に取り入れています。そして有名進学高校への合格者数を明示するなど、その成果を積極的にアピールしています。
また、不登校の生徒数など不利な情報もあえて公開し、入学予定者やその保護者に実態を把握してもらうための努力をしています。すべてにおいて「学校運営がしっかりしている」という印象で、8年間連続して同校に勤務している校長には、強い熱意と指導力が感じられました。
続いて、荏原第二中学校を視察しました。この学校では選択性の採用後に生徒減少が数年間続きましたが、今年度から新しい校長が赴任し、「福祉教育」と言う取り組みを特徴にしてPRしておりました。
この学校は、これまでも小中一貫教育を実践しており、当日も、中学校の柔道の先生が小学校5年生に柔道の授業を教えているところでした。感想としては、3つの小学校が1つの小学校にまとまるという形で一貫教育を行っているために、当然なのでしょうが各小学校の特性がそれぞれ異なり、全体としての連携を上手く図ることに苦労しているように見受けられました。
品川区では、選択制や共通テスト実施による競争を通じて、先生や生徒のやる気を引き出すとともに、保護者や地域の人々の関心を集め、学校の活性化を図っています。
しかし、問題点もあります。今回は視察出来ませんでしたが、選択制によって新入生の数がゼロになってしまった中学校もあり、その格差を今後どうやってカバーしてゆくのか、といった問題点も浮上してきました。
また、評価の高い学校は校長先生をはじめとして評価の高い先生が集まっていますが、すべての学校でそうした体制を組むことは難しく,更に、そうした教職員が異動しても同じように出来るかなどの課題もあります。
ただ、課題はあるにせよ、学校選択制が効果を上げている部分は多く、やり方さえ考慮すれば、私は実施することには賛成です。全国レベルで考えますと、地方の人口の少ない地域では、選択する学校そのものが近くにないわけですから、そうした点にも配慮が必要となるでしょう。
今回、内閣に設置された「教育再生会議」では、学校選択制や学校評価、教員免許の更新制などなど、競争導入による教育の質の向上と教員の質の向上が議論されると思います。
同時に、学校・地域・家庭の連携や、教育によってどういう日本人を作るかなど大所高所からの議論を期待しております。
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