歳入歳出の一体化について。
6月26日、政府・与党による「歳出歳入一体化の方針」が決定しました。
これは、770兆円におよぶ国の財政赤字を削減し財政再建を図るため、2011年度での財政黒字化を目標として歳出と歳入の改革を一体として進めようとしたものです。
現状のままで推移した場合の2011年度における財政赤字を16.5兆円と想定し、そのために (1)国・地方の公共事業を年1〜3%の割合で削減 (2)医療・介護など社会保障費の伸びを1.6兆円規模で削減 (3)公務員の人件費を2.6兆円削減 (4)ODA(政府の途上国援助)を年2〜4%削減、などを行い総額11.4〜14.3兆円の削減を目指します。そしてその後、不足分を消費税で賄おうという考えですが、その内容の審議を参議院選挙以降に先送りしてしまいました。
私はこの決定に反対です。
その理由の第一として、日本がこれからの国づくりを「小さな政府(少福祉少負担)」にするのか「中福祉中負担」の国にするのかの議論がなされていません。
第二として、歳出削減をすれば消費税の増額が必要ないようなイメージを与えていますが、それは無責任であり、消費税も一体として国民の皆さんに提示する必要があると考えています。
そして第三として、歳出削減によって医療費や教育費の自己負担を増やすことは、生活や病気などで困っている人、弱い人により多く負担を求めなければならないからです。
すべての人に同じ比率でかかるという消費税ですが、むしろ消費税のほうが人々の生活水準に応じて広く負担を求めるため、弱者にとって有利な仕組みになる場合もあります。
そのためにも消費税は「医療・年金目的税」とし、さらに、何年かに分けて導入・実施をし、そして医療費や食料費を現行に留め置くなど、さまざまな手立てを考えなければなりません。また、累進課税を少し強めて、余裕のある人からの税負担を多く求めることも視野に入れるべきでしょう。
最近の日本では「勝ち組、負け組み」という言葉が流行し、強者と弱者の差が開いてきているようです。努力した人が報われることは大切ですが、強者のみを称える風潮は好ましいとはいえません。
アメリカのように強者のみを優先する国家よりも、それぞれ自助努力をしながらもお互いに助け合う国づくりを目指したいと考えています。
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