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三位一体の改革と義務教育費国庫負担制度について。

 「三位一体の改革」の議論が始まりました。これは「国から地方へ」という小泉内閣の中心的な考え方に基づき、真の地方分権を目指す改革で、(1)これまで地方自治団体の事業に対して行ってきた国からの補助金を減らし地方独自の事業とする。(2)その補助金に見合った税源を国から地方へ譲り渡す。(3)同時に、国が地方に分配していた地方交付税の見直しを行う。といった改革を同時に行うことによって地方の権限と責任を拡大し、それぞれの自主性を生かした特色ある地域づくりを可能にしようというものです。私も、こうした考え方には基本的に賛成しています

 この改革を推進していくために、総額4兆円の事業が国から地方へ移譲されることになりました。平成16年度に1兆円、そして17、18年度で残り3兆円を移譲するように目標を掲げ進行中ですが、18年度の予算編成をする今年の12月までには、その事業と財源の内容を決定しなければなりません

 昨年の11月26日に、そうした事業の内訳がほぼ決まりましたが、いくつかの事業については今年末までに決定が延期されました。その大きな課題のひとつが「義務教育費国庫負担制度」という、公立小中学校の先生の給与の2分の1を国が負担する現行の仕組みについての検討です

 昨年、首相の要望を受けて全国知事会をはじめとする地方6団体は、国から地方へ移譲する事業を決定しましたが、義務教育費国庫負担金の中の、中学校教職員給与8千5百億円も地方移譲分とされ、三位一体改革の焦点となっていました。地方としては「教育はそれぞれの地域が創意工夫をして独自に行ったほうが良い」という思いがあるのでしょう。それも部分的には正しい意見だと思います。これまで、文部科学省があまりにも全国一律の教育行政を推し進めてきたために、その弊害も見受けられるからです

 しかし、そうした一面はあるにせよ、私は自民党文部科学部会長としてこの決定には反対の立場をとってきました。何よりも憲法26条に定めるように義務教育は国の責任であり、教育の基準と財源は国が保障すべきであると確信しているからで、さらに申し上げれば、本来、義務教育費については100%国が負担すべきであると考えているからです。世界を見まわしてみても多くの国々が「教育こそ国家の最重要課題である」として教育予算の支出を増加しています。そしてほとんどの国が、教育基準と財源については国で保障しているのです

 地域の特色を生かしたり独自の教え方があっても良いとは思いますが、国として統一した基準は必要であり、財源と基準は一体でなければなりません。ましてや、地方交付税の改革によって地方の財源が厳しくなることは避けられず、財源の豊かな県と厳しい県で義務教育に差をつけるわけにはいかないのです。地方独自の教育は去年から採用した「総額裁量性」によって実現可能であり、何より教育の機会均等という憲法の精神は守られなければならないと考えています



※「義務教育費国庫負担制度」の存続については今年秋までに「中央教育審議会(中教審)」の答申を得るとした暫定措置をとってきましたが、 先日、中教審は総会を開き「義務教育の教員給与を国と都道府県で半分ずつ負担する現行の国庫負担制度を維持すべき」とする答申を最終決定しました。その方向性は、私の考え方と基本的には一致しています。

平成17年11月7日 
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