郵政民営化法案について
7月5日、郵政民営化法案が衆議院において賛成多数で決定し、直ちに参議院に送付されました。しかし今回は予想以上に反対する議員が多く、わずか5票という僅差での可決でした。
私は、当初からこの法案を通すことは時期尚早であり、まずは現在の公社形式での運営を検証してから考えるべきであると主張してきましたが、最終的に法案に賛成する立場をとりました。
郵政事業を今すぐに民営化することには、いくつかの疑問があります。
その第一は、「なぜそこまで民営化を急ぐのか」ということです。2年前に郵政公社がスタートしましたが、その時点で「民営化を含めてその見直しは4年後の2007年にする」との基本方針が決められていました。それからまだ2年間しか経っておらず、私は4年間の実績を検証しながら後2年後に決めればいいと考えていました。現在の郵政公社が、かつて民営化を行った国鉄のように赤字体質ではなく、国からの財政援助をまったく受けることなく成り立っていることも大きな理由でした。
第二は、「なぜ郵便局窓口、郵便、貯金、保険の4会社に分けるのか」という疑問です。郵政事業は郵便と貯金と簡易保険が一体となって運営されており、地域ネットワークの拠点である郵便局、とりわけ地方の小さな局は、郵便事業だけでは間違いなく赤字となり運営できなくなってしまいます。現実に、今までも郵便事業は郵便貯金と簡易保険事業で支えられてきた側面があります。
第三は、国の多額の赤字国債を預かっている郵政事業が「民営化に伴って急速に赤字国債を売却した場合、国債相場が暴落しないか」という危惧です。国家の大事に関わるリスクですが、完全民営化した場合、それを回避するシステムが上手に作れるのでしょうか。
しかし、そのような疑問を残しながらも、最終的には法案に賛成しました。
その理由として、数々の修正案を加えることによって、民営化しながらも大筋で現在の事業を継続できる道筋が見えてきたことが挙げられます。そして、3年毎の見直し条項を設けることによって、郵政事業のネットワークを維持するための修正が可能になると考えました。党人として自民党の決定を尊重したいと考えたことも理由のひとつです。
これから参議院に舞台が移りますが、まだまだどうなるのか予測不能です。小泉政権が不安定な状況になったことは間違いありませんが、私はひとりの政治家として、混迷状況の中でもきちんとした仕事をしていこうと考えています。 |