教員大学院(専門職大学院)の設置について
8月10日、河村文部科学大臣が「義務教育の改革案」を発表しました。地方の自由度を高めながら、教員の指導力向上を求めたものと思われ、1.義務教育制度の弾力化 2.教員養成の大幅改革 3.学校・教育委員会の改革 4.国による義務教育保障機能の明確化 を大きな改革点として挙げています。
なかでも教員養成の大幅改革にともなう「教職大学院の設置」は、かねてからの私の持論と一致
し、これまで大臣や文科省の役人に強く求めてきたアイデアでもあり、大賛成です。
最近、学力の低下とともに児童生徒による数多くの事件が社会を揺るがせています。戦後の日本の復興は、教育の力によってこそ成しえたことは誰もが認めるところですが、その拠り所であるはずの教育がいま混乱しており、そこに問題の大きな原因があると思われます。
その解決のために、数々の提言がなされ、文科省も「総額裁量制」を採用するなど、画一化された教育から脱し、地域の創意工夫による教育を進めるようになってきました。
しかし、教育にとって最も大切なのはシステムや施設では無く、やはり人、「教員そのもの」にあります。残念ながら、知識は豊富であっても本質的に指導力の不足している教員が数多く見られるように私には映ります。
これは一例に過ぎませんし、私見ですが、今回の長崎県大久保小学校での事件があったクラスでは、担任の先生が入院してしまい、担任を降りてしまったといいます。その後の子供たちのことを考えますと、こういう大変な事態にこそ、信念を持って全力で指導にあたってほしかったし、それでなくては学校の信頼は得られないのではないかと思ってしまいます。
現在の教員は、大学4年間の中でわずか4週間の実習しか経験しないで教員免許を取得し、採用されるとすぐ教壇に立ちます。初任者研修や10年後の再研修制度もあるにはありますが、採用される時点で教育者としての指導力をしっかりと身につけてもらうことが大切ではないでしょうか。
来年度から、薬剤師の資格は、6年間の大学院大学卒業後に取得するように変わりました。医者や歯医者はこれまでも6年間の授業が義務づけられており、最近では法科大学院など専門職大学院の設置も増えてきました。
国と子供たちの未来にとって最も大事な教育を担う教員も、6年間の教職大学院で学び、その中で一年間の現場でのインターンを経験し指導力を学ぶべきであると考えます。
「学校でのことは私たちに任せてください」と自信を持って言える教員を育成してゆくために、教職大学院(専門職大学院)の設置がどうしても必要です。
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