三位一体の改革、義務教育費の国庫負担金について。
全国知事会は8月18、19日に会議を開き、三位一体の地方分権に基づく「平成18年度までの約3兆円の国から地方への税源移譲」について、地方税を10%の統一税として徴収し税源を確保するとともに、義務教育費国庫負担金の中学校教員給与8,500億円など、約3兆円の国庫補助金の地方移譲を決めました。また、平成21年度までに、約21兆円ある国庫補助金のうち9兆円の移譲を求めることでも合意しました。
私は、その方向性として、地方分権や事業の地方移譲に賛成しています。ただし今回の会議では、政府が、国の役割と地方の役割という基本ラインをきちんと決めずに知事会に丸投げをしてしまったために議論がかみ合わず、結果として数字合わせになってしまったように思われ残念です。
たとえば、知事会で議論が沸騰した「義務教育費の国庫負担制度」などは、義務教育における国の役割が何処まであるのかを事前に確認してから決定すべきであったのに、日程が足りないために数字合わせに終わってしまった感は否めません。「中学校の教員給与は地方が、小学校の教員給与は国が責任を持つ」などというちぐはぐな結論は、全く説得力に欠けますし、さらに「教育は憲法26条にあるとおり国の責任なので、予算は地方が受け持つが、足りない分は国が交付金で責任を持つ」、あるいは
「法律を強化して各県ごとの教育に差がつかないようにと要望する」など、本末転倒 の議論が目立ち、理解しかねています。
混乱の一番の原因は、小泉内閣が議論の場をもたずに地方6団体に丸投げをしてしまったことにあると思います。早急に、政府と知事会等との協議会を作り、国と地方の事業の役割分担について話し合うプロセスを踏み、それに基づいて国税と地方税の税源について決定すべきです。
私は、かねてより「義務教育に関しては国が責任を持つべきである」と論じてきました。日本の力の源は教育であり、都市や地方にかかわらず多くの有為なる人材を輩出してきたことが、今日の発展をもたらした最大の要因だと考えています。アメリカのように、裕福な地域と貧しい地域で教育施設や教員の待遇に差があり、平等に教育を受けることができない社会にはすべきではありません。 |