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長崎大久保小学校の同級生殺人事件を憂う

6月1日、長崎県佐世保市の大久保小学校で、小学6年生の女児が同級生をカッターナイフで切りつけ死亡させるという、たいへん衝撃的で痛ましい事件が起こりました。

事件の詳細や動機については取調べ中ですが、日本の教育を考える衆議院文部科学委員として、言葉に表現できないほどのやるせなさを覚えています。

現状では、学校や教員など周辺の情況が新聞等で伝えられるだけで、本質的な問題点についてははっきりしてはいませんが、原因の調査はしっかりとしていかなければならないと思います。

少年犯罪の件数は最近少し増えていますが、戦後の中で際立って多いわけではありません。しかし、過日同じ長崎県で起こった、中学生が4歳の子供を突き落とした事件などにも見られるように、低年齢化、凶悪化の方向にあり、また陰湿な事件が増えているように感じます。

これについては、いくつかの問題点が挙げられます。

(1)学校へのコンピューター導入などIT教育が進んでいるが、IT化の良い面だけでなく、弊害といえる面も浮上してきている。テレビゲーム、携帯、パソコン等の普及によって、子供と子供が直接顔を合わせ、意思を通じ合わせる機会が少なくなっていることは、兄弟が少ない現状と相まって、人の痛みを体感し理解する経験をしていない子供を増加させる傾向を生み出している。

(2)事件を起こした女児は「バトルロワイヤル」というビデオを見ていたという。表現の自由は大切であり、作品自体を否定するつもりはないが、暴力的で残忍な、あるいは過激な性行動などの描写が多い雑誌やビデオが多数出まわっていることは事実である。善悪の判断基準ができあがっていない子供にとって好ましくない影響を与えていると思われるメディアから子供を守るシステムが確立されていない。

(3)怪我をさせない、けんかをさせない等、大人たちの過保護によって、子供が生身の人間として出会う数多くの事象に対する免疫がつくられない。人の体や心が、どの程度までなら痛みに耐えられるか等の訓練ができていない。

(4)いつの時代でも「いじめ」が完全になくなるということはあり得ないのに、いじめが悪いというあまり、いじめを隠し、かえって陰湿な行動へと向かわせている。

同時に今回の事件報道の中で、目隠しをしたとか、カッターナイフで何回も切りつけたとか、女児の具体的な犯行内容が伝えられていますが、現段階でそうした行為を報道する必要があるのでしょうか。こうした情況は取調べ担当官しか知り得ないのに、ショッキングな部分が増幅されていく報道の在り方が、本当に公益にかなうのか疑問に思います。

 
平成16年6月12日 
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