憲法改正について
過日、大沼保昭先生(東大教授 山形市出身)から憲法第9条についての「護憲的改
憲論」の論文をお送りいただきました。私も賛成です。
私はかつて憲法改正、とりわけ第9条の改正はすべきではないと考えておりました。 戦後の日本が軽軍備経済優先政策のもと、何よりも平和で同時に世界で冠たる経済大国になれたのは、日米同盟の片務性のもと防衛は専ら米国等に依存し、民生技術開発
など経済活動に専念出来たからであります。第9条はそのシンボルとして日本が世界の平和のみならず、日本近辺の想定有事をもわずかな軍事力で対応することが出来た最大の抑止力であったからだと思っています。
しかし、時代の趨勢の中で日本のみが一国の繁栄と安全平和だけを唱えるにはあまりにも世界の中における存在が大きくなってきました。そうした時、第9条のみが憲法改正の論点ではありませんが、自衛隊の存在、PKOやPKFまた集団的自衛権の問題は解釈改憲で済ませるべきではなく、改正された憲法の中にしっかりと記載されるべきであると考えます。そして憲法改正においては国民の同意をしっかりと得た形にしなければならないと思います。
私には第9条改正にためらいもあります。それは、日本という国が体制翼賛的な性格を持っており、軍隊や集団的自衛権を憲法で一旦認めてしまえば、歯止めがなくなっ
てしまうのではないかという恐れです。しかし、その恐れがあったとしても、事後承認や解釈改憲でそうした政策を押し進めるのはすべきではない事と確信しており、「護憲的改憲論」に賛成です。
その他にも、議会と内閣のあり方、環境問題、89条の私学助成違憲の件など、戦後60年経った今日にそぐわない条文が数多く有ります。内容の問題もそうですが、制定の在り方にも課題があります。現在の憲法は、手続上は帝国憲法の改正にのっとって出来ておりますが、実質は連合国の指導の下に出来ており、国民の合意の下に出来たとはいえません。
同じ敗戦国であったドイツは、制定時から自国の主導でなされており、さらに時代の要請にあわせて度々改正をしております。これまで、憲法改正の議論は第9条の改正のみに象徴され、直に軍事国家に成ると喧伝されて、議論することさえタブーの状態でした。
しかし、最近の世論調査をみると、時代の趨勢に合わせて改正すべきとの意見がよう やく国民の理解を得るようになってきました。情報が世界をかけ廻り、グローバル化した今日、世界にどういう貢献が出来るかが日本、日本人の果たす役割であり、そう
した要請に合わせ憲法改正に早急に対処すべきと考えます。 |